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学生のマイクロ波フィルタ試作実験 [教育]

コムラインフィルタ.jpg私の学科では、2年生の実験科目として、小グループで行う個別テーマ実験というのをやっています。5人程度の小グループに分かれた2年生が3週間ずつ4グループほどやってきます。私が提供したテーマは、「マイクロ波フィルタ実験」。希望者が多数いたようですが、実験設備の関係から人数を絞ってもらいました。
相手は2年生ですから、専門科目の基礎勉強を始めたばかりのほとんど素人です。その2年生相手に、1回3時間、3回やって合計9時間で、マイクロ波フィルタを作って実験させるのですから、なかなか大変なものです。
1週目は、フィルタの理論、と言っても電気回路の基礎の復習から始めます。コイルとコンデンサで、ローパスフィルタやハイパスフィルタ、直列共振器や並列共振器を組むところからおさらいです。実験で作るのは、バンドパスフィルタという、もっと難しいフィルタです。通過周波数は2.4GHz。無線LANの周波数の電波だけを通すフィルタです。
これを金属の箱の中に実装した2本の金属棒で作ります。棒の長さや、棒の間の距離を0.1mm単位で制御すると、これがなんと高性能な電子部品として働くわけです。私自身、これを最初に作ったときは、その美しい特性と、それが緻密な理論でピタッと設計できることに感激しました。学生にも、是非その感激を味わってもらいたいと、このテーマを設定しています。
2週目にはシミュレータを用いて、学生たちが設計したフィルタが設計通りに動作するかを確認します。また、実験で使う測定器はネットワークアナライザという、学生たちには馴染みがないもの。それを使うためには、Sパラメータ、スミスチャートなどという難しい専門用語を理解しないといけません。通常の講義なら、学生たちは思わず眠ってしまうところです。しかし、最終週には自分が試作して実験しないといけないので、学生たちは真剣そのものです。
3週目は、いよいよ設計したフィルタを実際に製作します。ここで、学生君たちが苦労するのはハンダ付け。以前は、自分でラジオやオーディオアンプを作った学生が何人かはいたものですが、ほぼ全員がハンダ付けは初めての体験です。そして、最後は周波数調整ねじを回しての調整です。周波数調整と言っても簡単ではありません。最初は、フィルタ特性の形は全く崩れていて見る影もありませんが、周波数がきれいにあった時だけ富士山型をしたきれいなバンドパス特性が現れるのです。これは、何回見ても、感動します。コムラインフィルタ特性.jpg
今回も。5名全員がフィルタづくりに成功しました。学生たちにも、モノ作りの楽しさを十分に味わってもらえたようです。普段の座学の授業では嫌なことも、実際に自分が使うとなるとそれほど苦にもならず、また、何のために勉強するのかがわかるので、学習は非常に効果的です。
やはりこういった教育はマスプロ教育ではなく、非常に手間は掛かりますが、少人数での指導でないとうまくいかないようです。大学教育のあるべき姿を、この実験は的確に示唆しているような気がします。
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